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[鳥取大学マンドリンクラブ60周年記念誌用の原稿です。]

(2018年 1月11日 寄稿)

感謝しつつ

 

 2010年1月に50周年記念誌に寄稿して以降、私事、摩訶不思議の8年であり、さらに持続する予感を抱いています。想定外の音楽人生に至った主軸は、(勿論仕事以外では、)ウィーンでの生涯研修!
 発端は、自身の還暦記念として、妻(S46 教小)が初体験となるロンドンに二人で5連泊したこと。この際は、近年、力を増して“カミサマ”に昇華した妻の圧力で、ミュージカル研修は【オペラ座の怪人】のみ。が、ナイショで【レ・ミゼラブル】も買い、2公演としたが、クラシック演奏会は皆無。
 1997年11月に自治体病院協議会主催の西欧医療施設団員として赴いた際、全日フリーの単独行動日に、現地で(ご承知の通り格安で)チケットを購入し、テムズ河畔のロイヤルフェスティバルホールとシティにあるバービカンセンターで聴いた実績があったゆえに、2009年9月末は不完全燃焼だったのです。

 

 その後、妻は近居の孫娘の養育と実母の介護で動けず、一方、小生は悶々とした日々。カミサマの許可が出て、2011年5月に単独で7連泊し、ミュージカル5演目(既述の2演目、【マンマ・ミーア!】・【ウィキッド】・【ビリー・エリオット】)と、ロイヤルフェスティバルホールでのメジャーオーケストラ3公演、そして、最終夜にロイヤルアルバートホールでのスペシャル公演にも恵まれたのでした。
 一方、1994年10月に妻を伴って訪れたウィーンは、インターネット情報が乏しかった当時のことで、消化不良であったこともあり、単独での再訪を意思表示していました。「英語がまともに話せないのにドイツ語圏?!」と医局仲間に怪訝に思われてもいたのですが、ウィーン研修の軸ブレは皆無でした。

 
 50周年記念誌にも書きましたが、わがクラシック音楽の導師で、今や同志のメグさんが病院を訪ねて来られたのが、前年度末で教職を退職された翌2011年夏のこと。帰宅後、カミサマにメグさんをウィーンに誘うことについてお伺いを立てたら、あっさりと「誘ってみたら」とのお言葉!
 メグさんに提案したら、即決的に意思表示があり、ウィーンへの自由旅行が決定したのです。
 2012年5月、時差7時間の現地到着後、西欧が初めてのメグさんと二人で、ハイドンゆかりのケラー(
Esterhazykeller)に入り、白ワインで乾杯!
 飲食後、彼の同意を得て、少し回り道をした。王宮門界隈から色彩豊かにライトアップされた市庁舎の尖塔が美しかった。
 メグさんは小生と同様に飲むと顔が赤くなる。旧年、鳥取開催のマンクラOB会でも彼の顔が赤いのを見ていた。お互いが語り合う機会は、学年が異なることもあって、瞬時だった。つまり、彼がどの程度飲めるのかについては知る由もなかった。
 事後談だが、ウィーンに着いた夜、彼は「朦朧としていた」由。時差7時間のウィーンを歩いていた時間帯は既に日本は早朝で、つまり、徹夜状態で、かつ、初めての西欧で、小生より緊張感があったろうし、加えて、メグさんはアルコールがほぼ飲めないことが分かったのでした。

 
 
ウィーン国立歌劇場に無料のネット会員登録をし、学生気分で、11EUR、13EURの席を買い求め、オペラ研修をした。彼はオペラ初体験との由で、拙宅の〔Grand-Pa Hall“MIRO”〕で、事前研修を重ねた上での本番研修だった。
 忘れることのない現地初体験はワーグナーの【さまよえるオランダ人】で、男声合唱の強さに圧倒された。
 ゴールデンウィークの期間を当直等で詰めた後に出かける5月のウィーンは、約1か月間続く[ウィーン芸術週間]と重なる。市庁舎前広場での多彩なイベントや、夜のカラフルなライトアップ然りです。期間中、ウィーンフィルとウィーン交響楽団が隔年に、各々の本拠地である楽友協会“黄金のホール”とコンツェルトハウスでの演奏会を主催している。
 現地人は慣れっこであろうし、一方、旅行業者も手を出さないのか、各々が世界一流の指揮者で演奏会を開催するが、そのチケットも格安で、ネット購入できる。はい。各会場も無料ネット会員になっています。

 
 ウィーンフィルは、ご承知の方も多いでしょうが、公務員として、国立歌劇場のオーケストラピットで、オペラとバレエの生演奏が本業で、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の団員として実績を積んだ仲間が、「ステージ上で演奏をしたい」との思いから、同好会的に結成され、現在に至っているわけです。つまり、ウィーン国立歌劇場を離れて演奏する機会がウィーンフィルの呼称ですネ。発足は宮廷時代の1812年で、本拠地の楽友協会は1870年の建築。
 “黄金のホール”は未だに世界で最も響きの良いホールの一つとして著名ですが、一方、演奏会中に、重心を移動した人が発する木製の椅子が軋むノイズに見舞われます。

 
 2016年5月に看護師二人を伴った際、ウィーンフィル定演のチケットは、オーケストラステージ席!
 指揮はクリストフ・エッシェンバッハで、TMC馴染みのエグモント序曲に始まり、ブラームスのVn.協奏曲、後半はシューマン。大編成でないため、恒例により、空いたステージ上空間に椅子を並べた席で、指揮者の眼光を見つつ、稀有なホール音での視聴でした。ウィーンフィルの無料ネット会員でもあり、有料会員がチケットを確保した後の一般会員発売日時にいち早くPC操作し、チケットを得ています。
 ウィーンフィルの年間定期会員になるには13-14年待ちが常態と理解していますが、公務等で聴けない会員が、チケットを返す文化が定着しており、この恩恵で定期演奏会の席を得ることになります。

 
 メグさんのキーワードに、巨匠ワレリー・ゲルギエフと、ストラヴィンスキー「春の祭典」があります。生で視聴したのは、2012年5月、コンツェルトハウスで、ロンドン交響楽団。小生の好むギャラリー最前列中央連番席の超VIP席が連番で購入できたのも、前記の空席としない文化の成せる業! 
 この年のオペラの目玉は、当代随一と評するメゾソプラノであるエリーナ・ガランチャが実質的には主役と言える男役セストで出演したモーツァルト最晩年の【皇帝ティートの慈悲】でした。彼女の声に惚れ♪、彼女に片思い状態の小生ですが、国立歌劇場のロジェ(ボックス席)2列目(13EUR)席で、最前列のお客の迷惑にならないように、天井に手を置いて立ち、覗き込んで、聴き入った結果、メグさんは「なるほど素晴らしい!」と、感動の余り(?) 観劇後の遅い夕食をご馳走してくれたほどでした。
 これが契機となり、翌シーズン5月にガランチャが持ち役的な【カルメン】で出演すると知り、カミサマをスイスにお連れする内約を反故にして、そう平謝りに徹し、結果的に、何とメグさんと2年連続のウィーン研修となりました。ところが、素人の自由旅行ゆえの大事件が勃発・・・! トホホ?!

 
 ウィーン国立歌劇場のオフィスで、購入予約コードを提出したら、ナ何と「配席されていない」との由。現地のシステムに不慣れであった所以だが、実はこの年はワーグナー生誕200年の記念年で、200年前の5月22日の誕生日に《ニーベルングの指輪》第三夜【神々の黄昏】が上演され、その3日前が【ジークフリート】だった。当然ながら、これらも配席されていなかった。が、メゲル小生ではない。フォルクスオーパーの【魔笛】を買い、既述の3公演は立ち見に並ぶことに帰結。結果? 大正解!
 紙面の都合上、詳細は省きます。OB(・OG)会の席上、メグさんも感動体験を話してくれましょう。
 【カルメン】は、上演日に3時間半のドナウ川クルーズを終えた後、国立歌劇場へ。立ち見の列が出来始めていたので、当然、並びました。開演まで優雅な4時間余の成果で、立ち見の最良席を3EURで確保し、堪能した次第でした。当日は、ガランチャの調子が今一でしたが、NYメトロポリタン歌劇場の公演♪と異なり、ロベルト・アラーニャが絶好調で、かつ、ミカエラ役の初体験アニタ・ハルティッヒの声に魅了された。プロ野球同様、秀逸な新人を体感し、一方、スター選手の体調など生ものです。

 
 2018年5月の単独ウィーンでもアラーニャとガランチャが出演する【サムソンとデリラ】は5年ぶりに立ち見になるかも・・・。2012年以降、ウィーンは8回目で各々7-8連泊の実績で、スイスをトラベルパスで巡る自由旅行と共に、今後も続きそうです。
 次は、どなたを誘って行くことになりましょうか・・・。 アナタ?!
 関心のある方は、随筆[続 ウィーンを愛して]・[スイス悠々]が智頭病院小児科HPにあります。予習を兼ねて、動画集(You Tubeにup)と共にご覧ください。
♪:録画は保有しています。わが〔Grand-Pa Hall〕での体感も是! 百聞は一見(聴)に如かず!

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<寄稿後、8か月余が経過した時点での追記>

 【サムソンとデリラ】も望んだ席が配席されました。公演の70日前で、配席の妙と言うべきか、1席のみなので小生に・・・
 ウィーン国立歌劇場の座席図と価格帯(2017/18シーズン)は
コチラ♪1にあります。そして、【サムソンとデリラ】公演当日の情報はコチラ♪2にあります。

 
:確認したら、♪12020/21シーズン:最新分が展開! ♪2:鑑賞した公演のCAST 18.05.2018が展開(2021/3/18)

メーリ

= 備忘録 =

 CONDUCTOR: Marco Armiliato   Dalila: Elīna Garanča   Samson: Roberto Alagna
​ 2013年5月に同歌劇場【カルメン】同様、ガランチャとアラーニャのコンビで体験できたことは嬉しかった。二人とも好調で、かつ、他のキャストも名前と顔は覚えていないが、各々上手(と書く程度の文才のない小生の拙い表記)だった。合唱は秀逸!
 一方、舞台(大道具)、衣装は、絵に例えると、抽象画的で、今風で「致し方ないなぁ・・・」だった。が、一方、期待していなかった【カプリッチョ】の舞台(大道具)構成と衣装は秀逸だった。勿論、歌手陣もガランチャ、アラーニャほどの世界トップからは、人気・知名度は劣るが、歌唱・演技を含めて秀逸で、演奏に例えると、息が合った質の良い室内楽のごとく・・・。妻にも見せたい舞台・衣装!
​ 3演目目の生初体験が【
ドン・パスクワーレ】で、滞在中の最終夜が喜劇だったので気楽に楽しめた。小生が名前を知るスター歌手の出演はなかったが、(その分低価格で、)十二分に楽しめた。(国内では生の舞台が未体験で)ウィーン国立歌劇場では2回目だった【シモン・ボッカネグラ】は、初回(2016年5月27日)が(若くして脳腫瘍でご他界された)故 ディミトリー・ホロストフスキーさんで、今回(2018年5月13日)はトーマス・ハンプソン。2016年の初体験時は、フェルッチョ・フルラネットがヤーコポ・フィエスコ、フランチェスコ・メーリ2021/4;来日予定2014;来日)がガブリエーレ・アドルノ、バルバラ・フリットリがアメーリア・グリマルディ(マリア)とキャスティングにも恵まれた。 

飛ぶ鳥を落とす勢いのメーリは今回も同役!

2017年のザルツブルク音楽祭でアンナ・ネトレプコが【アイーダ】を初めて歌った際に、ラダメス役としても出演しており、驚いた!~ ザルツブルク音楽祭の目玉公演は NHK が放映してくれるのでありがたい。
 書き出したら止まらない・・・:思いがアレコレと沸き上がるゆえ止め!! (2018/ 9/19)

大谷恭一 S.45 医進

​[50年記念誌

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