[鳥取大学マンドリンクラブ50周年記念誌に掲載された文です。]
(2010年 1月寄稿)
♪ Viva!わが音楽人生 ♪
2009年末、わがクラシック音楽の導師である國政恵三先輩が湖山の拙宅に来てくださった。振り返ればS45入学で、クラシック音楽が無縁の人生だった小生に対し、導師は「ベートーベンのバイオリン協奏曲」を聴かせつ、「繰り返し聴けば、良さが分かるようになる」と勧めてくださった。その後、1,000円の廉価版LPを買い、繰り返しターンテーブルに乗せ続けた。聴き込むうちに何となく良さが分かったような気になったのですが、今からすれば、全くの序の口でした。
あれから40年近い年月が過ぎた今、仕事以外では、クラシック音楽に親しむ日々です。BSやNHK教育で放映されるオペラ、オーケストラ、室内楽をハイビジョン録画し、気に入ればDVD-Rを作成し続け、妻(S46教小)からは、「いつ視聴するの?」と言われつつ、月6・7回の病院当直の機会も活かし、何とか時間を作り出しています。また、CD(・DVD)を、Tower Record、AmazonやYahoo! Auctionで探し、購入してもいます。気に入ればPC / iTunesに入れ、音楽データとして出張の際にも音研修!
1981年から22年余の県中時代、厚生省・厚労省や文科省の研究班等で上京を繰り返していました。妻が「東京に行ってもとんぼ返りで病院勤務。他の人はゴルフや釣り・・・」と発言したことがヒントになり、夜行列車(廃止された「出雲号」)での往復を止め、東京で一泊し、翌朝一便のANAで帰鳥しての直接出勤が定着しました。会議は17時過ぎには終わるので、会員となったサントリー・ホールのほか、オーチャード・ホール、芸術劇場、文化会館、王子ホール等での演奏会体験(・研修!)を重ねました。
2003年11月、県中の管理職を辞し、2年余、小児科医無医地区だった医療圏内一人小児科医として智頭病院に異動しました。2005年8月下旬、珍しく電子チケット・ピアからのメール文を見たのです。「兵庫県立芸術文化センター」(HPAC)と、見慣れない文字列がありました。で、調べると、「10月22日(土)開館。佐渡 裕 音楽監督の指揮、PAC管弦楽団でBeethovenの『第九』5連続記念公演」がありました。が、既に完売。同日、小ホールで《モンテヴェルディ・ガラ》があると分かり、出かけました。その後、平均すれば、この5年間、毎月1回程度、HPACで視聴・研修している実績です。
一方、出雲高校2年の時に授業をさぼり、映画館の大看板に描かれた美女に惹かれて初体験したのが「MY FAIR LADY」、そうmusicalでした。その後も「SOUND OF MUSIC」・「WEST SIDE STORY」など、映画のmusicalに魅せられていたのです。ところが、学校が4週6休となった1993年7月に、妻・娘の主導で、家族で体験したのが、旧難波球場跡地の銀色のドーム!劇団四季の舞台 musical 【CATS】でした。思いがけない感動体験で、四季の会員になり、観劇歴は17年目になりました。
演奏会や観劇等で病院・医療圏を離れる機会は、エネルギーの枯渇防止・充電に役立ちます。HPACの定演は、幸い週末なので、小生は1泊し、これと連動して、看護師さんたちは日帰りで、年に数回は、“智頭四季の会”と称し、大阪や京都(&東京!)での劇団四季公演を共に感動・体験しています。
〓 思い出を列記してみました。
● HPAC管弦楽団定期会員:2006年4月からの第1期、2階席中央から下手側の1席(2C16)が年間my seatでした。2階席下手側は、オーケストラ、ソリストが良く見え、音響的も優れ、幸いでした。その後、2B16、2B16と続き、4期目の現在も2階席下手寄り席(2A23)で、研修を継続しています。
一昨年の3期目からは、欧米並みに9月スタートで、年9公演です。“箱モノ”行政が問題とされるわが国ですが、HPACは、佐渡 裕 が世界的なオーディションを実施し、16か国の若手演奏者が集い、在籍を最長3年間として、教育の意図も含めたオーケストラを先行させて、開館を迎えていたのです。
● HPAC大ホール:2000余の箱型構造で、環境・音響に優れ、今や、本邦一・二の公演回数・質になっています。プロの評価も高く、かつ、企画力も優れているが所以です。未体験の方は是非どうぞ!
● HPAC小ホール:開館日に初体験し、惚れました。西日本で唯一のワインヤード方式で、八角形構造の500席ほどですが、望ましいのは前方側3区画300席程度です。今や“我が音の故郷!”です。
● 國政導師とのアンドルー・マンゼ体験:HPAC定演の翌日、2008年6月8日(日)に、小ホールでのリサイタルを超感動体験しました。バロック・バイオリンの繊細な響きが活かされる小ホール自体が素晴らしい楽器であることも体感した次第です。翌日の東京公演分がNHKで繰り返し放映されています。購入したCDでの演奏を、導師と我が“音部屋”のBOSE サウンドで共有できたのは幸いでした。
● 佐渡 裕 プロデュース・オペラ:毎年6月下旬~7月の公演です。2006年 プッチーニ〔蝶々夫人〕8公演(+再演4公演)、2007年 モーツアルト〔魔笛〕8公演、そして、2008年のレハール〔メリー・ウィドウ〕は、初めて日本語公演で、佐藤しのぶ・塩田美奈子のダブルキャストでした。桂ざこばや宝塚出身の平みち等が関西弁で演じ、舞台も宝塚調の花道を設けるなど話題性が大きく、計12公演の完売が、業界の“事件”になりました。2009年は、東京二期会とも連動し、兵庫、名古屋、東京で計15公演、ビゼーの〔カルメン〕でした。兵庫公演をNHKが2回放映しており、映像でも楽しんでいます。
全演目の主役はダブルキャストで、〔メリー・ウィドウ〕以外は一人が日本人でした。NHKのハイビジョン放映分〔カルメン〕の林美智子は、昨年正月のNHKニューイヤー・オペラ・コンサートでも同役を歌っていました。また、佐渡 裕 が司会の「題名のない音楽界」でも“江戸版”仕様での〔メリー・ウィドウ〕や、昨年は〔カルメン〕も紹介されましたが、ご覧になられた方がおられましょうか?
● 幻のニジンスキー振付初演版《春の祭典》の復刻上演:2005年11月13日(日)の“バレエ・ガラ”のメインでした。小生は4階席の下手隅の席でしたが、ニジンスキーの特異なフォーメーション・振付が良く見え、感動しました。その後、サンクトペテルブルクの2008年“白夜祭”で上演されたゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場の同じニジンスキー版の《春の祭典》を、(NHK放映のハイビジョン映像、BOSEサウンドですが、)体験しました。カメラは、バレエ公演の一般的アングルと、真上の天井設置分が主体であり、円形動作を活かした振付、HPACで感動したアングルが乏しくて、残念でした。
この舞台は、昨年末にも、《火の鳥》と合わせ、再放送されました。ハイビジョンレコーダーに残してありますので、機会を得て、導師とともに体験共有が図れるかナ?
● スクロバチェフスキ指揮、ザールブリュッケン放送交響楽団演奏会:NHK交響楽団の定期演奏会でベートーベンの交響曲を指揮している放映分を聴いてファンになりました。東京では、手勢のザールブリュッケン響を指揮して、ベートーベンの交響曲を連続公演しました(同交響曲CD全集はオススメ!)が、関西では、唯一、HPACでの1公演で、6番『田園』と5番『運命』でした。平日の19時開演でしたが、HPACのHPでチケットを購入し、2時間の時間休を取得し、鑑賞研修に!出かけました。
智頭は鳥取県の南東端に位置し、鳥取市を起点にすると僻地ですが、南東を向けば、関西に至近の地になります。智頭急行の特急 スーパーはくと に乗車すると時間距離は近いわけです。
さて、当日の演奏会は小生の予想に反して、HPAC大ホールにしては例外的なことですが、客入りが悪かったのです。で、期待感と、“WELCOME”の願いを込め、団員がステージに上がる際から全員が出そろうまで、自席(2B16)からしっかりと拍手をし続けたのです。客席の拍手は止みませんでした。
演奏は?~ハイ!期待通り秀逸で、『田園』の冒頭から、「来て良かった」と感じました。『田園』が終わって「Bravo!」の発声をしたのは勿論です!
休憩後、団員が舞台に出始めたら拍手!~ 小生が確信的に大きな拍手を続けたからというわけではないでしょうが、客席からの拍手が、極めて例外的なことですが、持続しました。
『運命』が終わって、勿論、盛大な拍手と共に「Bravo!」を発しました。すると、何と、2席上手の上品な高齢淑女から唐突に「もっとブラボーを。私の分も」との要請が、見知らぬ小生にあったのです。ならば、と、第九の合唱バスパートで鍛えた大きな声で「Bravo!!」を発しました。
スクロバチェフスキに促されて団員が退いた後も、拍手が止まらず、若手の女性バイオリニストと手を携えてステージに戻る場面も! 70年代後半、カール・ベームが来日した際の映像を思い出しました。
● Musicalの感動体験:昨秋、ロンドンでの【オペラ座の怪人】、劇団四季の【ジーザス・クライスト・スーパースター】、【アイーダ】、【ライオンキング】やS回転最前列最中央での【キャッツ】などナド・・・
● 自身の出演 :「第九」以外に、マンドリン演奏、 県民musicalの準主役や、皇太子殿下・妃殿下ご臨席の鳥取開催第17回国民文化祭初日に“都の大王”役で梨花ホールの舞台に。【55ステップス】ではナ何と大阪四季劇場の生の舞台にも!
大谷恭一 S.45 医進 (2019/12/18 up)
[60年記念誌]